アルカリイオン水を飲んではいけない人とは？体に悪いといわれる理由や健康効果を解説

ミネラルを豊富に含む「アルカリイオン水」ですが、健康志向の方に人気が高い一方、体に悪いとの噂も耳にします。

そのような噂を聞くと「具体的な健康効果とは」「飲んではいけない人がいるのだろうか」と不安に感じるのも無理はありません。

結論からお伝えすると、乳幼児や腎機能に問題がある方、さらには服薬中の方はアルカリイオン水の摂取を避けた方がよいでしょう。

本記事では、アルカリイオン水を飲んではいけない人の特徴や、体に悪いといわれる理由について科学的な観点を踏まえて詳しく解説します。

アルカリイオン水を飲む際の注意点やおすすめのナチュラルミネラルウォーターについても紹介するため、飲料水選びに迷う方は、ぜひ参考にしてみてください。

アルカリイオン水とは？

アルカリイオン水は、近年関心を集めている水の一種です。しかし、一部ではアルカリイオン水は体に悪いとの声も聞かれます。

では、具体的にアルカリイオン水とはどのような水なのでしょうか。

電気分解で生成

アルカリイオン水は、一般的にカルシウムイオンを含んだ飲用水を電気分解して作られています。

電気分解の機器として用いられているのは、JIS（日本産業規格）により規格された家庭用電解水生成器（アルカリイオン整水器）です。

アルカリイオン整水器で生成されたアルカリイオン水は、主に消化不良や慢性下痢、ガスだまり、胃酸過多などの消化器症状の改善を目的として使用されています。

ほかにも複数の健康効果が確認されている一方で、摂り方により健康を害する場合もあるため、飲み方や飲む量には注意が必要です。

弱アルカリ性の水

アルカリイオン水は、弱アルカリ性（pH9〜10）の性質を持つ水です。

pH値とは、0から14までのスケールで表された水素イオン濃度の指標です。

pH7を中性とし、7より数値が小さければ酸性、大きければアルカリ性となります。

水道水のpH値の基準は 5.8以上8.6以下であることを踏まえると※1、pH9〜10のpH値であるアルカリイオン水は、水道水よりもアルカリ性に傾いていることがわ分かります。

ミネラル成分の影響

アルカリイオン水に含まれるミネラルは、水源に影響されます。

天然水は産地の環境によって含まれるミネラルの種類や含有量が異なり、水道水を使用してつくるアルカリイオン水においては、ミネラルを添加しているケースもあります。

体内におけるミネラルはエネルギー代謝をはじめ、骨や歯の形成や筋肉収縮、神経伝達、体温調節など、さまざまな働きに関与しているのが特徴です。

そのため、アルカリイオン水を選ぶ際には、ミネラルの種類や含有量などを考慮するとよいでしょう。

アルカリイオン水の健康効果

アルカリイオン水は体に悪いといった声が一部で聞かれますが、さまざまな健康効果も報告されています。

アルカリイオン水に認められている効果は胃もたれや胃の不快感、慢性下痢などの胃腸症状の改善です。

しかし、それ以外の効果については科学的な裏付けがまだ不十分な面もあります。

ここでは、現時点で報告されている健康効果について紹介します。

胃腸症状の改善

家庭用医療機器であるアルカリイオン整水器の使用目的は「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」と定められています。

消化不良や下痢、胃酸過多を改善する際に有効であるとされているため、胃腸の不調を抱える方に適しているでしょう。

胃腸症状を改善するメカニズムは十分に解明されていませんが、水酸化物イオンやカルシウムなどが、胃腸症状によい効果をもたらしているものと考えられています。

口臭の予防

アルカリイオン水には、口臭の原因となる口内の酸性環境を中和する働きが期待できます。

食事の残りかすや歯垢は、細菌のエサとなって口内が酸性に偏ります。

酸性は口臭を引き起こす細菌が増殖しやすい環境のため、口内pHが酸性に傾くことで口臭を生じやすくなるのです。

アルカリイオン水を活用すれば、口内の酸性環境を調整できるため、口臭を引き起こす細菌を増やしにくくする効果が得られるでしょう。

抗酸化作用

アルカリイオン水には、活性酸素の働きを抑えたり除去したりする抗酸化作用があることが報告されています。

活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれる酸素からつくられる物質です。

本来、免疫機能に関与するなどしている活性酸素ですが、過剰に発生すると細胞を老化させたり体内の脂質を酸化させたりするため、生活習慣病やがんなどを引き起こす要因となります。

アルカリイオン水を飲んだら体内の過酸化脂質（酸化された脂質）が減少した、との報告があることから、アルカリイオン水の持つ抗酸化作用が生活習慣病などの予防に役立つことが期待されています。

血糖値の改善

アルカリイオン水の摂取により、示唆されているものが血糖値の改善です。

高血糖を放置すると、糖尿病の発症リスクが高まります。

アルカリイオン水の摂取は血糖値の改善と同時に、中性脂肪値の低下や肝機能の改善、善玉因子の増加などに寄与することも報告されています。

運動時の酸化ストレス軽減

アルカリイオン水には、運動後の酸化ストレスを軽減させる作用があることが報告されています。

筋力トレーニングなどで強い負荷がかかると、活性酸素が多く発生し酸化ストレスが生じます。

アルカリイオン水を摂取して筋肉量や筋力の低下につながる酸化ストレスを防ぐことで、運動パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

アルカリイオン水を飲んではいけない人

アルカリイオン水には胃腸症状の改善をはじめ、複数の健康効果が期待できます。

しかし水道水とは異なる性質を持つため、飲用に適さない場合もあるようです。

ここからはアルカリイオン水を飲んではいけない人について理由とともに解説します。

乳幼児

赤ちゃんや小さな子どもは消化器官が十分に発達しておらず、消化能力が未熟です。

そのため、アルカリイオン水に含まれるミネラルの処理に負荷がかかる場合があるでしょう。

ミルクの調整や離乳食の作成には、アルカリイオン水ではなく通常の水道水を用いるのがおすすめです。

腎機能に問題がある

慢性腎不全や糖尿病性腎症などにより腎機能が低下している場合にも、アルカリイオン水の摂取は避けるべきです。

腎機能が低下しているとミネラルの処理能力が落ちるため、健康被害を及ぼす可能性があります。

とくに腎疾患が進行した患者では、カリウムの排出能力に大きな低下が見られます。

カリウムを含むアルカリイオン水の摂取により、血中カリウム濃度が上昇し、腎疾患の管理に支障をきたす可能性も考えられるでしょう。

腎疾患の管理を適切におこなうためにも、アルカリイオン水の使用は避けましょう。

服薬中

処方された内服薬のなかには、アルカリイオン水に豊富なミネラルの影響を受けるものもあります。

想定される薬効に変化が生じたり、副作用が強く出たりする可能性があり、治療の妨げとなるかもしれません。

アルカリイオン水は医療的な効果が認められている水です。同じく医療的な効果を持つ薬との同時摂取は控えましょう。

服薬はミネラルの少ない水道水や軟水の活用がおすすめです。

アルカリイオン水を飲む際の注意点

アルカリイオン水を飲む際には、どのような点に注意すべきなのでしょう。

ここからはアルカリイオン水を飲む際に気を付けたい点について解説します。

過剰摂取しない

アルカリイオン水は医療的な効果が厚生労働省より認められた水です。

薬やサプリメントの過剰摂取が健康を害するように、アルカリイオン水の過剰摂取も胃腸に負担をかける場合があるため避けるべきでしょう。

アルカリイオン水は臨床試験において、0.5～1Lの飲用で安全性が認められています。飲み過ぎは胃酸の働きを弱めて下痢につながる可能性があるため注意が必要です。

はじめはコップ1杯（約200mL）のアルカリイオン水で体を慣らし、増やす場合にはコップ3～4杯までを目安にするとよいでしょう。

pH値を確認する

アルカリイオン水を家庭用のアルカリイオン整水器で作る場合、pH値を自在に調整可能です。

アルカリが強いほど胃腸への作用が強まるため、まずは中性に近いpH8～9の設定からはじめましょう。

pH9～10のアルカリイオン水は、弱めのアルカリイオン水に慣れてから飲むことをおすすめします。

胃腸に負担が生じた場合には量を減らすかpHを中性に近付けて調整しましょう。

またpH10以上の水は飲用に適しておらず、医療機器の消毒や掃除に用いられるものです。直接飲まないようにしましょう。

医薬品ではない

アルカリイオン水は厚生労働省より医療的な効果が認められているものの、医薬品の扱いではありません。

胃腸症状を改善する効果も、医薬品のような即効性や強い改善効果が期待できるものではないことを覚えておきましょう。

軽めの胃腸症状を和らげるための飲水として、健康維持のために取り入れることをおすすめします。

また、すでに疾患があり治療を続けている方は、アルカリイオン水を飲用して問題ないか担当医へ確認しましょう。

飲用中に不調を感じたり、症状に全く改善が見られなかったり場合にも、飲用を中止し医師へ相談するようにしましょう。

アルカリイオン水とシリカ水の比較

健康意識の高い方が求める水として人気が高いアルカリイオン水とシリカ水は、成分や水源が異なるため、それぞれに独自の特徴と健康効果があります。

次の項目では、アルカリイオン水とシリカ水を比較します。

成分の違い

アルカリイオン水は、天然の水源から抽出された水であり、アルカリ性のミネラル成分（主にカルシウムやマグネシウム）を含んでいます。

一方、シリカ水は、天然のシリカ鉱石を含む地下水や湧水から得られる水です。シリカ水には、シリカ（ケイ素）と呼ばれるミネラル成分が豊富に含まれています。

水源の違い

アルカリイオン水は、地下水や湧水といった天然の水源から抽出されます。

水源は地下深くに存在し、地層を通じてミネラル成分を含んだ水が抽出されるのが特徴です。

一方、シリカ水は、シリカ鉱石を含む地下水や湧水から取得されます。シリカ鉱石が水と反応するとシリカが溶け出し、水中に含まれる点がポイントです。

健康効果の違い

アルカリイオン水は、胃もたれや慢性的な下痢など消化器症状の緩和に役立つ飲料水です。

また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分も含んでいるため、栄養補給や骨の健康にも役立つとされています。

一方、シリカ水は、シリカが持つ保湿や調子を整える作用が注目されています。

シリカ水ならミネラル豊富な『のむシリカ』を選ぼう

ここまででシリカ水に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。

そこで最後にシリカ水の中でもとくにおすすめな、のむシリカについて解説していきます。

中硬水で飲みやすい

「ミネラルが豊富な水」と聞くと、「変な味がして飲みにくい」といった印象を持つ方も多いのではないでしょうか。

のむシリカは、硬度100～300mg/L以下の中硬水であり、ミネラルが豊富なうえに口当たりが柔らかくて飲みやすい特徴があります。

体内生成できない貴重なシリカを摂取できる

のむシリカは、数多くあるシリカ水の中でも、体内では生成できない貴重なシリカが豊富に含まれている水です。

一般的なシリカ水に含まれるシリカの量は、50〜100mg/Lだといわれているなか、のむシリカには500mLのペットボトル1本に97mgものシリカが含まれています。

シリカ以外のミネラルも豊富

のむシリカには、シリカ以外にもカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

水を飲むことで足りないミネラルを摂取できるのは、大きなメリットだといえるでしょう。

アルカリイオン水に関するよくある質問

アルカリイオン水を導入するにあたり、水の違いや性質、アルカリイオン水を飲む方法などについてより詳しく知りたい方も多いでしょう。

そこでここからはアルカリイオン水に関する質問のうち、よく寄せられるものについて回答します。

アルカリイオン水を飲む方法は？

アルカリイオン水は市販のペットボトル飲用水で購入するか、家庭用のアルカリイオン整水器を用いて作成すると飲むことができます。

ペットボトル入りのアルカリイオン水はスーパーやドラッグストア、ネット通販で手軽に購入可能です。

ペットボトルの場合はpH8～9と中性に近い商品が多いため、はじめてアルカリイオン水を飲む方にも適しているでしょう。

アルカリイオン整水器は水道に直結して使用するもので、多くの場合浄水機能も兼ね備えています。

pHの調節が可能であるため、最初のうちはpH8～9の弱めのアルカリイオン水から飲みはじめ、胃腸の状態を確認しながらpH9～10に上げることをおすすめします。

アルカリイオン整水器の導入にはコストがかかるため、まずはペットボトルのアルカリイオン水を試してみるとよいでしょう。

安全性は認められている？

アルカリイオン水の安全性は1日に500mL～1Lの範囲でのみ認められています。

そのため1日に大量のアルカリイオン水を飲むと、胃腸への負担が増すおそれがあるでしょう。胃酸の働きが弱まることで、下痢になる可能性もあります。

アルカリイオン水の多用は控え、普段の水分補給は水道水や「のむシリカ」のようなナチュラルミネラルウォーターでおこないましょう。

まとめ

摂取量や飲み合わせ、体の状態によっては体に悪影響を及ぼす恐れがあることが、アルカリイオン水が体に悪いといわれる理由です。

アルカリイオン水は、適切な摂取量と使い方を守れば、身体の健康やバランスの維持に役立ちます。

自身の体質や状況にあわせて、適度な摂取を心掛けましょう。

また、医師や専門家の助言を求めることも重要です。

健康な生活を送るためには、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な休息も欠かせません。総合的な生活習慣の改善が健康への一番の近道です。

アルカリイオン水を取り入れる際は、正しい情報に基づき、バランスの取れた生活を心掛けましょう。

＜参考文献＞
※1　水質基準項目と基準値（51項目）｜厚生労働省
※2　アルカリイオン水の使用上の注意事項｜アルカリイオン整水器協議会